2019年11月8日金曜日

DXとは・・・?


デジタル・トランスフォーメーション

「DXとは、クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術を利用し、新しい製品・サービス・ビジネスモデルを通して価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」

DXとはビジネス価値を提供する主体、つまり企業が取り組むべき変革のことであるとしています。その変革を、クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャルといったデジタル・テクノロジーを利用することによって、進めとゆくことであるとも述べています。経済産業省が2018年9月に発表したDXレポートの中でも、このIDC Japanの定義を採用しています。
このような考えを踏まえ、ビジネス用語としては、おおむね「デジタル・テクノロジーを駆使して、企業の文化や体質を変革し、ビジネスのやり方や組織の振る舞いを抜本的に変化させること」という意味合いで用いられています。
残念ながら、このような解釈は必ずしも広く浸透しているとは言えず、デジタル・テクノロジーを駆使した情報システムを作ること、あるいはIoTやAIなどを使って新しいビジネスを立ち上げること、といった解釈もまだまだ多いようです。
確かに、「デジタル」はかつての常識を上書きし、不可能を可能にしてきました。しかし、それは手段ではあっても、目的ではありません。「トランスフォーメーション」すなわち、変革や転換を成し遂げることが、DXの目的と言えるでしょう。
「デジタル」という手段を駆使しても「変革や転換」という目的が達成できなければ、意味がありません。しかし、現実には、「手段を使う」という目的を達成しようとしているDXと称する取り組みも多いような気がします。
大前提として理解すべきは、ビジネス環境の変化です。業界に突如として現れる破壊者たち、予測不可能な市場環境、めまぐるしく変わる顧客ニーズの変化など、ビジネス環境は、これまでになく不確実性が高まっています。
このような環境にあっても事業を継続させなくては、企業の存続はあり得ません。つまり、「事業の継続と企業の存続」がDXの目的です。
しかし、「長期計画的にPDCAサイクルを回す」といった従来のやり方では、成長はおろか、生き残ることさえできません。ビジネス・チャンスは長居することはなく、激しく変化する時代にあってチャンスを掴むにはタイミングを逃さないスピードが必要です。顧客ニーズもどんどん変わり、状況に応じ変化する顧客やニーズへの対応スピードが企業の価値を左右します。競合もまた入れ代わり立ち代わりやって来ます。決断と行動が遅れると致命的な結果を招きかねません。
そこで、その時々の最善を直ちに見極め迅速に意志決定し、行動を変化させなくてはなりません。つまり「圧倒的なビジネス・スピード」を手に入れるしかないのです。
そのためには、ビジネス・プロセスをデジタル化して現場をリアルタイムに「見える化」し、データに基づいて的確、迅速に「判断」し、直ちに「行動」できる仕組みを持つことです。
また、セルフ・マネージメントできるプロフェッショナル同士の高い信頼関係を前提とした自律したチームによって組織を運営してゆくことも大切になるでしょう。そのようなチームは「対人関係においてリスクのある行動をしてもこのチームでは安全であるという、チームに共有された信念」すなわち「心理的安全性」が担保された組織でなくてはなりません。「このチームでは、リスクをとって挑戦してもいいし、失敗してもいい」というお互いの信頼関係を前提とした組織であればこそ、大幅な権限委譲が可能となり、「見える化−判断−行動」のサイクルを高速に動かし、俊敏に変化し続けることができます。
手段は様々ですが、大切なことは、「圧倒的なビジネス・スピードの獲得」という目標にかなうかどうかです。ただ、速くすればいいと言うことではなく、それがビジネスの成果に結びつく取り組みであるかどうかです。
ビジネスの成果とは、「従業員の幸せと最高のパフォーマンスを引き出す」ことであり、「顧客満足を維持し、競合他社を凌駕し続ける」ことです。変化の速い時代にあって、このような成果を出し続けるためには、自らも高速に変化し続けなくてはなりません。それが、事業の継続と企業の存続を可能にするのです。いわば、企業同士のスピード勝負に勝ち残ることができる企業文化と体質への変革がビジネスの成果を生みだすのです。


                                                                                                   Kumagai




2019年8月21日水曜日

『クラウド環境セミナー 2019』


先月718日に、クラウドソリューション事業部発足7年で4回目のセミナーを開催いたしました。
クラウド、テレワーク、働き方改革をテーマに先進ITをご紹介させていただきました。
多くのお客様に、ご来場いただきありがとうございました。

3年連続で働き改革を主題にして開催してきました。

実際の世の働き方改革はどうなっているでしょう・・・。
残業が減少し、効率の上がった仕事環境になったでしょうか?
なかなか現実は狙ったようには変化してないように思います。
逆に在宅残業のし易い環境になってしまっています。
できる人はより仕事のできる環境というのでしょうか。
深刻な人手不足も重なり、今後の就業環境に求められるものとは?

次回のセミナー開催に向けて、ITが提供できるサービスを追及してまいります。

Kumagai





2019年5月21日火曜日

May


長いGWも終わって、夏に向けてのすごし易いこの頃です。
元号改正もなされ、『令和』時代がはじまりました。
また、今年も718日にセミナーを開催いたします。
詳細は後日お知らせいたします。

以下我々を考えさせてくれる記事です。
営業の仕事だなんて、受け入れられないという人たちもいるだろう。そのとおり、少なくとも多くの人たちが描いている営業像とはかけはなれているかもしれない。むしろ、コンサルタントや経営者のイメージに近いと言える。
しかし、古き良き時代の「営業」では役割が果たせないのであれば、それを変えるしかない。
ひとつ言えることがある。それは、いままでもこれからも変わることのない営業への期待だ。それは、予算として与えられた数字を達成すること。その働きに対して給与が払われるというのが変わらないとすれば、営業はそれができなければならないということになる。
営業の人格は数字である。笑顔が絶えず、優しく、だれからも好かれる存在であっても、数字が達成できなければ、営業という人格は低い。営業としての人格を高めたのであれば、数字を達成するしかない。そのためには、もはや従来の営業像を置き換えて、新しい営業としての能力を磨き、行動を変えてゆかなければならない。
めまぐるしく変わる社会やビジネス環境にあって、お客様はこのままでは大変なことになると意識し、何とかしなければと考えている。しかし、その一方で、何をすればいいのか分からない状況に置かれている。つまり、課題やテーマを明確に出来ないのだ。そんなお客様に、従来通りのやり方で「課題やテーマを教えて頂ければ解決策を提供します。製品やサービスを提供します。」といっても、困ってしまうだろう。だから、「お客様のよき相談相手となって、彼らの不安や迷いを課題として捉え直し、その解決策をデザインする」、つまり、お客様の状況を真摯に見聞きし、共感し、「あるべき姿」を描き、そこに至る筋道を提言することが、案件獲得のきっかけとなる。
営業は、知識を磨かなければならない。テクノロジーのトレンドや最新の事情に精通しなくてはいけない。テクノロジーの進化は留まることはない。その進化の恩恵を提供することがITに関わる仕事であるとすれば、知識なき営業はお客様から見れば役立たずでしかない。そうならないためにも知識を磨き続けることを怠ってはいけない。
また、教養も必要であろう。ITに関わることだけではなく、経営や事業、ビジネスや社会全般にわたるものごとや出来事に関心を持つことだ。お客様もまたそんな世界の一部なわけで、広い視野からお客様の幸せを考えることができなくてはならないだろう。また美意識を磨くことだ。芸術や文化である。何が正しいことかを知るためには、真善美という評価基準が必要だ。相手の気持ちや幸せ、提言の美しさ、倫理観は、そんな教養に支えられている。
そして、人格も磨くこと。お客様も大切な仕事を任せようというわけだ。会社の命運とまでは言わなくても、あなたの提言は、相対するお客様やその組織の評価、事業の成功に関わっている。それを任せようという営業を信頼できなければ、任すに任せられないだろう。例え知識があり教養が深くても、人としての信頼、あるいは人格としての高潔さが必要だ。それが「あなたにお願いしたい」という意志決定の決め手になる。
知識、教養、人格は、社会人としての土台でもある。なにも営業だけの話しではないが、営業もまた、それにふさわしいこの3要素を磨く努力を怠るべきではない。では具体的に何をするのかということになるが、それを見つけることもまた、自らできなくてはならないだろう。そういうセルフマネージメントができることが、この3要素を磨くための基礎となる。
もちろん、簡単なことではないし、一生かかっても終わることはない。だからこそ、学び続け、磨き続ける必要があるし、その態度こそが、相手の信頼を惹き寄せ、営業の業績へとつながってゆく。そのための努力を怠らなければ、目先の数字をあくせく追いかけなくても、数字は向こうからやってくるようになる。
営業の役割と求められる能力は再定義されなくてはいけない。それをいままで通り「営業」という言葉で表現するのか、新しい名前を与えるべきなのかは分からないが、もはやこれまでの「営業」のやり方がお役御免になることだけは覚悟しておくべきだろう。

ふぅ~だそうです・・・・。
考えさせられます。

                                                                                         Kumagai






2019年3月18日月曜日

『 春 』


ほぼ毎日朝5時のワンコの散歩・・・。
この真っ暗だった数カ月も、徐々に明るくなり春の季節を感じるようになってきました。
懐中電灯もいらなくなり、すがすがしさを感じることもできる散歩になってきました。

更に私事ですが、次女が大学進学で家をでることとなりその準備もピークを迎えております。
ニ〇リは込み合い新生活用品を求める方々でごった返しておりました。
結局、大半の家具を通販サイトにて購入、中古家電を再利用で経費負担を下げる・・・。
アパート探しも、会社で社員や外注さんの宿舎を探すのとは全く異なり、なんだかんだ複数条件を要望し
面倒な客になってましたかね。

昨年、一人暮らしを始めた長女は、就職活動で夜行バスにて東京へ。
訪問する会社を、よくまあ調べる調べる。 面接のシナリオを夜中かけて作成し母親にプレゼン。
父親には相談無・・・、  私、一応会社ではそのような担当しているんですが。

いろんなことで、春を感じている今日この頃です。


                               Kumagai

私が作った息子のお弁当です。
ザ・肉・・・

朝日を浴びる岩手山

2018年12月29日土曜日

今年の総括・・・


今年も残すところ数日となりました。
振り返るとお客様も増え、充実した1年となりました。
春には、新たなスタッフも加え体制強化を図りました。
来月20191月の決算を踏まえ、12月時点で売上が昨期の130%UPとなっております。
事業部単体で3億近くの売上を計上でき、社内の中でも存在感が増しております。
インフラ構築、仮想クライアント、サーバー仮想化、クラウドを利用した運用と従来より培ってきた技術をご提供ささせていただいた結果となっております。
6月にはセミナーを開催させていただき、多くのお客様に来場いただきました。
働き方改革という時流にIT活用を提案した内容でした。
関心の高さは、講師を務めていただいた皆様からも評価いただきました。

以下は来年目指すべきスタイルです。(私が愛読するブログからの引用です)
ユニークで優れたプロダクトを世の中に出しても、あっという間に他社が追従しコモディティ化してしまうし、優れたプロダクトであれば、他社も直ぐにその販売をはじめてしまう。もはやプロダクト単体のアドバンテージで勝負することは難しい。だから、お客様ごとにニーズや課題を掘り下げて、個別に最適化された「プロダクトや手段の組合せ」を「ソリューション」として仕立て上げ差別化しようという「ソリューション営業」が注目されるようになった。しかし、「ソリューション営業」は、いま2つの課題に直面している。
ひとつは、「ソリューション」のコモディティ化が加速していることだ。情報がネットを介して直ぐに手に入る時代となり、各社の「ソリューション」についての情報もあっという間に手に入る。例え、それぞれの企業にとって個別最適化された「ソリューション」であっても、使われているプロダクトや手段についての情報は直ぐに拡散してしまう。そうなれば他社も容易に追従できるので、ユニークさは失われてしまう。「ソリューション」もまたプロダクト同様にコモディティ化が進み、差別化できなくなってしまうからだ。
もうひとつは、何が課題なのか、ニーズなのかが分からないお客様の「ソリューション」を明らかにすることはできないということだ。ビジネス環境の不確実性が高まる中、お客様は「このままではいけない」と感じてはいるが、何をどうすればいいのか分からない。そんなお客様の課題やニーズを掘り下げることはできない。もはや課題ありきの「ソリューション営業」で、競争優位を築くことが難しい時代となってしまった。
だから、営業は次のステージへと進化しなくてはならない。お客様は「このままではいけない、どうにかして変革を進めたい、しかし、どう変わればいいのかがわからない」と考えているのなら、その変革のゴールとそこに至る道筋を提言し、そのプロセスを主導することで、新たなビジネス・チャンスを生みだそうという営業だ。
こんな営業に「イノベーター営業」という名称を与えてはどうだろう。「イノベーター(Innovator)」には変革者という意味がある。お客様のイノベーションを主導し、その過程を通じてニーズやテーマを創り出し、案件を生みだしてゆく営業ということだ。
「変革という課題を解決するのだから、ソリューション営業と変わらないのでは」という意見もあるかもしれないが、両者の本質的な違いは「ニーズや課題が、既知か未知か」にある。
ソリューション営業は、お客様自身が意識している「顕在化されている課題やニーズ」か、こちらが指摘すれば「たしかにそうだ」と容易に気づかせることができる「潜在的な課題やニーズ」が存在していることを前提とする。しかし、変革を進めようとするお客様は、変革への意志や問題意識はあっても、「どこに向かって変革し、どのようにイノベーションを起こせばいいのか」分かっていない。そんなお客様に「課題は何か」と尋ねても答えようがない。そんなお客様に、他社の「ソリューション事例」は役立たない。それは、「自分たち自身がどうなりたいのか」といった「あるべき姿」が明確になっていないので、それが自分たちに役に立つのかどうか分からないからだ。
イノベーター営業は、そんなお客様をお客様以上に深く考察し、提言して新しい気づきを引き出し、お客様自身が自らの「あるべき姿」とそこに至るシナリオに確信が持てるように支援する。そして、「あるべき姿」へ至る道筋を示して、前に進もうとする勇気を与える。
ビジネスのあらゆる分野でIT抜きに語れないいま、「変革」への取り組みは、結果として、ITの新たな需要を創り出す。つまり、変革のプロセスに関わることがこれからの「営業活動」ということになる。
そんな営業活動のゴールは、お客様のビジネスを成功させることにある。そのための良き相談相手になることだ。そして、この人なら相談できる、任せられると思ってもらえなくてはいけない。そのためには、幅広い知識と技術への理解、そして、お客様のビジネスを成功させることへの熱いパッションも必要になる。
その土台となるのが人間力だ。人格あるいは人徳と言い換えてもいいかもしれない。これは営業以前の話しで、ビジネス・パーソンとして、お客様から信頼される存在になることだ。
営業の提言に、自分たちの会社の命運をかけようというのに、その相手が人として信頼できるかどうかは、とても大切なことになる。だからお客様は、誠実に、真摯に自分たちの未来に向きあってくれているのだろうかを見極めようとするだろう。そんな人間力もまた、イノベーター営業には求められる。
AIや自動化の時代だからこそ、営業には人間にしかできない役割が求められている。こうしたい、この課題を解決したいにAIは直ぐに答えを教えてくれる。そのために必要な条件を入力すれば、必要な機能や構成は直ちに実現してくれる。でも、そもそも何をしたいのか、何をすべきなのか、自分たちはどこに向かうべきなのかといった「あるべき姿」を、AIは教えてはくれない。人間は問いを発しAIが答えを与えてくれる。その役割分担が、さらにはっきりしたものになってゆくだろう。
イノベーター営業は、この「あるべき姿」をお客様に提言し、その実現への筋道を示し、そこへと導く仕事と言えるだろう。テクノロジーの進化は、営業にそんな人間としての役割をこれまでにも増して求めることになる。

なかなか簡単なことではないですが目指すべ姿は見えております。
                                Kumagai


         
       日頃よりご愛顧いただき誠にありがとうございました。
       皆様のご健勝と貴社の益々のご発展を心よりお祈りいたします。
       来年も当事業部をよろしくお願い申し上げます。
         

                 花田設備株式会社クラウドソリューション事業部
                 事業部員一同


2018年10月10日水曜日

話題の市場の移転


話題の築地から豊洲への中央市場の移転・・・。
お客様の移転作業をおこないました。
当社本業の建築部門も携わった現場で、完成から数年たっての移転です。
水産関連棟しか入場してませんが、豊洲の新市場は、とても大きく空調設備が充実し場内温度が寒いほどで
管理されていました。
正直、こんなに投資して大丈夫???と思うほどの施設。
アクセス的にも若干不便さを感じてしまいました。
ただし、旧市場よりも衛生面、清潔感は格段にあがり、トラックやターレの場内輸送はスムースになり物流拠点としての役割は十二分に果たすものと感じました。
地方からの水産物の流通量が減少している昨今、東京都内の消費者へのつなぎ役として更なる活躍を期待するばかりです。

                                      Kumagai








2018年9月22日土曜日

自分はどの段階でしょう?


こんな記事がありました。

学びの3段階
『プロ』・・・新しいことを創り出す。新しいことや例外的なことに対処できる。
『ベテラン』・・・ルーチン・ワークの手順を意識しなくてもこなせる段階。
『素人』・・・ルーチン・ワークを意識しなければこなせない段階。

「素人」の段階。仕事をどのようにこなせばいいか分からない段階であり、新入社員や3年未満の若手の多くはここに居る。
仕事の現場の8割はルーチンワークだ。企業の収益は、このルーチンワークで基本的なところは確保されている。まずは、これができるようになることだ。これができないと仕事にはならないので、まわりからもプレッシャーがかかる。自分もまずいと思うので、なんとか必死で知識やスキルを身につけようとする。そうやって23年も過ごせば、一通りこなせるようになり、何とか「一人前」の称号を手にすることができる。
次の段階は、新しい仕事に対処できる「ベテラン」の段階だ。
ルーチンワークができるようになるまでは自分のやっていることを「意識」しなくてはならない。オペレーションのひとつひとつを「このやりかたで間違ってはいないだろうか?」と確かめながら、自分の判断や行動を修正し、うまくゆくやり方を見つけてゆく。その段階が終われば、「無意識」にルーチンワークはこなせるようになる。そうなってはじめて、新しい仕事に関わる意識の余裕が生まれる。日常のルーチンワークを常に意識しながらでは、とても冷静に新しいことに取り組めない。
もちろん、「素人」の段階であっても、新しいことへのチャレンジができない訳ではないが、基本的な仕事ができていなければ、それは趣味の世界であり、給与分の働きをしているとは言えない。相当頑張って意識して基本の仕事をこなした上で、新しいことをやるのであれば、それはそれで評価されるだろうが、これはなかなか容易なことではない。
一旦基本的な仕事の手順をこなせるようになると、その応用も無理なくこなせるようになる。そして、場数を増やしてゆくことで、幅広くいろいろな仕事をこなせるようになる。こういうところに「ベテラン」の本領が発揮される。
「意識する」とは、自分の「できない」や「未熟」を率直に受け入れ、学ぼうという態度を生みだす。できる人に訊ね、本を読み、情報を収集し、対処の方法を考え、行動に変えてゆく。そうやって、ひとは自分の能力を磨いてゆく。1つのことができるようになれば、もはや意識しなくてもよくなるから、つぎの新しいことを意識する余裕が生まれ、新たな学びの機会を増やしてゆく。そうやって、「ベテラン」は熟練の度を極めてゆく。
ただ、残念なことに、多くの人たちは基本とその応用の範囲で熟練することに留まっている。「素人」からルーチンワークをこなせる段階、つまり「一人前」の称号が与えられると、これで満足してしまい、基本やその応用の範囲を超えて、新たな学びを意識することをやめてしまう。それでも、給与分の働きができているので、とりあえずは問題にはならない。また、応用も意識することなくこなせるので、仕事の要領もいい。そうやって、ルーチンワークとその応用を確実にこなせるだけの「ベテラン」となり、そのまま歳を重ねてゆく人もいる。
やがてそういう人たちは、「役に立たないおじさん」や「働かないおじさん」になってゆく。給与が高い割には業績や成果があがらず、社会的な価値も低く、外に出ても通用しない人たちだ。そういう人たちは、ベテランの段階に甘んじてしまい、自ら「学び止め」をしてしまった人たちだ。世の中の変化に関心を持たず、自分のやってきた世界でのみ熟練の度を極めてきた人たちは、世の中の変化に対応しようとする取り組みに抵抗を示す。たとえ言葉では、「変わらなくてはいけない」と言っても、どう変わらなければならないかを学んでいないので、行動に起こせない。だから、「役に立たないおじさん」や「働かないおじさん」になってしまう。
そういう人は、従来からの仕事をしてもらうには重宝であり任せて安心な存在だが、新しいことや例外的なことに対処する能力は磨かれていない。だから、新しいことや大切なことを任せることができない。また、新たな学びを怠っているので、古いやり方で何とかこなそうとするので、時にお荷物になってしまう。
「ベテラン」は確実にルーチンワークをこなしているので、そこで働いた期間が長いほどに会社への貢献は大きいから、それはそれで評価されるべきだ。しかし、そのことが若い人たちがモノを申せない理由となり、変革を求められると抵抗勢力となってしまうことがある。これがやっかいだ。抵抗しなければ、自分のできることがなくなってしまう。自分の存在意義がなくなってしまうからだ。それが怖いし、辛いのだ。
こういう人たちに見られる特徴の1つが、職場と家庭の2つの場所しか持っていないことだ。この2つの場所を往復することで人生を過ごしている。外の世界を知らないままに、与えられた仕事を粛々とこなし、長時間労働で自分を見つめ直す余裕もない。職場と家庭以外の視点がなく価値観もない。自分を客観的に見ることができない。だから、不足も未熟も感じないままに、会社員人生を過ごす。そして、やがては「役に立たないおじさん」や「働かないおじさん」になってしまう。
定年を迎え、仕事がなくなれば、そういう人たちは社会における自分の居場所を失い「社会的引き籠もり」になってしまう。100年人生の時代を迎えようとしているいま、その期間はどんどんと長くなってゆく。なんと辛く、悲しいことなのか。
30代前半の自分はまさにそんな状態だった。外に何があるのか、どんなことになっているのか知らなかった。いろいろな価値観があり、ロールモデルがあり、知恵があることを知らなかった。それを知ったときの衝撃は「痛い」ものだった。そして自分の将来を「怖い」と感じた。そして、それが、いまの自分の学びの原動力ともなっている。
「ベテラン」の先にあるのが「プロ」の段階だ。
「プロ」の人たちは、例え「ベテラン」になっても、つねに自分の不足や未熟を見つけ出し、「意識」して学び続ける人たちだ。学び続けることで、世の中の常識や変化を知り、常に自分や会社の不足や未熟を意識しつづけようとしている。
こういう人たちは、会社や自分に対して批判的である。だからといって会社の悪口を公然と言ったり、評論家然として会社の悪口を言ったりはしない。悪口や評論家は、学び続けてこなかった歳を重ねた「役に立たないおじさん」や「働かないおじさん」に見られ傾向がある。文句を言うならば自分で何とかすればいいではないかと思うのだが、学んでいないので表面的な情報しかなく、考察も浅く、批判や評論家以上のことはできない。
「プロ」は、批判的に状況を捉え、見つけ出した課題を自分の与えられた職責の範囲で、あるいはそれを拡張して解決しようと試みる。そうやって、企業や組織の改革を推し進めてゆく。例え文句は言っても行動が伴っている。だからそういう文句は人の心を動かす力を持っている。
また、人のつながりが豊富な人が多い。それは社内に留まらず、社外に人的なネットワークを広く持っている。こういうつながりが、その人に広い視野を与え、自分を冷静に評価できる目線を与えるのだろう。それが、不足感や未熟感を常に生みだし学ぶことへのモチベーションとなる。
また、他人は自分とは違う常識や知恵を与えてくれる。時にして助けてくれる。それもまたその人の能力として評価される。
経営者はこういう人が必要なので、評価は上がり、出世もする。例え他の会社へ移っても、独立しても、基本的な「プロ」としての行動様式は変わらないので、成果をあげ続けることができる。
「ベテラン」すなわち一人前を自覚した人は「自分をもっと成長させたい」、「いまの自分の殻を破り新しいことに挑戦したい」、「自分の可能性を確かめたい」などの想いで転職しようとする人たちがいる。そのことは、悪いことではないし、その志は評価すべきだ。
しかし、「ベテラン」だから他でも通用するだろうと考えるのは甘い。「プロ」としての行動パターンを会得できていない人が職場を変えても、自動的に自分の思いを達成できるわけではない。
他の会社に入れば、まずは「素人」の段階からはじめなくてはならない。もちろん新入社員と違い基本的な仕事の常識はわきまえているので、「ベテラン」にステージアップするのにさほど時間はかからないだろう。しかし、そこでもし「仕事ができるようになった」と満足してしまい、新しいことを学ぶことや会社と家庭の往復以外の場を持つことを怠れば、そこでも所詮は「ベテラン」止まりであり、自分をさらに高いステージにあげることはできない。

とすると今のわたしは・・・

                                   Kumagai